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附属と付属の違いとは?意味や使い分けを解説 | 国語力アップ.com

附属付属違い使い分け公文書新聞学校

「ふぞく」という言葉は、漢字だと「附属」と「付属」の二つの表記があります。使い方としては、「附属中学校」「大学に付属する」などのように用いられます。

ただ、両者の使い分けをどう行えばいいのか疑問に思う人も多いようです。そこで今回は、「附属」と「付属」の意味の違い、公文書、新聞での使い分けなどについて詳しく解説しました。

附属・付属の意味

 

まず、「ふぞく」の意味を辞書で引いてみます。

【附属/付属(ふぞく)】

①主になるものに付き従っていること。また、そのもの。

②「付属学校」の略。

③(「付嘱」とも書く)仏語。師が弟子に教えを授け、さらに後世に伝えるよう託すること。付法。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「附属」と「付属」は、上記のように辞書では併記されています。すなわち、辞書としての意味はどちらもほぼ変わらないということです。

意味としては、「付き従うこと」あるいは「付き従うもの」を表します。

【例】

ふぞくのパーツ。機械のふぞく部品。大学のふぞく病院。

つまり、何かにくっ付いているような状態を「ふぞく」と言うわけです。

では、同じ意味にもかかわらずなぜ二つの漢字が存在するのでしょうか?この問題の理由について詳しくみていきましょう。

附属と付属の違い

附属附属違い意味

まず、戦前(1945年より前)においては、「付」と「附」は漢語では一般に使い分けられていました。

戦前では、「つく・つける」の意を含む場合は「附属」「附表」のように「附」を用い、「わたす・あたえる・さずける」などの意を含む場合は「交付」「給付」などのように「付」を用いていたのです。

ところが、戦後においてはだんだんと「附」と「付」を使い分けるようなことはせず、「附」を用いる場合にも「付」を用いる方向へと向かっていきました。

これはなぜかと言いますと、戦後の漢字改革により「付」の方を積極的に使うことが決まったからです。

戦後の日本はGHQの方針もあり、従来用いてた難解な漢字よりも簡易的な漢字を用いることが決まりました。そのため、「附」ではなく「付」の方を使うようになったのです。

具体的には、「法令及び公用文」で次のようなルールが決まりました。

「附属・寄附・附則・附帯・附置」の5つだけは「附」を使い、これら以外はすべて「付」を使う。

上記5つの中に、「附属」が入っているのが分かるでしょう。つまり、一般には「附」という字は用いないものの、法令・公用文に関しては例外的に「附」を用いると決まったのです。

「附」という字が残されたわけは、当時の国語審議会で日本国憲法に「附」という字が使われていることが判明したためです。

憲法というのは、その国の根幹を担っているほど重要なものと言っても過言ではありません。そのため、「附」という字は特別に残すことになったのです。

当時の「当用漢字表」では、「附」と「付」は両者ともに採用されています。しかし、これは当時の国語審議会の審議中に「日本国憲法」に「附」が用いられていることが分かったからなのです。

また、この国語審議会では旧字音訓でも「付」には「フ・つける」という音訓を採用し、「附」には「フ」という音だけを採用しました。

さらに、「当用漢字補正資料」(昭和29・国語審議会)では、「附」を当用漢字表から削除する28字の中に入れました。このような経緯もあり、公用文を含めて社会一般でも特に支障のある場合以外は「付」を用いるようになってきたのです。

その後、国語審議会から答申された新音訓表でも、「付」には「フ・つく・つける」という音訓を掲げ、「附」には「フ」という音のみを採用しました。

そして、「附」の語例として「附属」「寄附」を示していますが、一方で答申の中には「付表」という語も用いられています。

つまり、全体の趣旨としてはなるべく「付」を用い、特に上記の語例のように「附」を用いる慣用が強いと思われる場合は、「附」を用いるようにしたということです。

附属と付属の使い分け

附属付属使い分け公文書新聞不動産

 

以上の解説を踏まえれば、「附属」と「付属」の使い分けは簡単に行うことができます。

法令および公用文

まず、「法令及び公用文」では、原則として「附属」を用いるのが正しいです。

「法令及び公用文」では、従来の用字法を尊重することが適当と考えられる「附属・寄附・附則・附帯・附置」の5つについては「附」を用いることが決まっています。

そして、これらの5つ以外は「付」を用いることにしています。ゆえに、「法令・公用文」の「ふぞく」に関しては「附」の方を用いるのです。

身近な例で言いますと、国が管轄している公立の小中学校や高校、国立の大学などはこの「附」を使っています。

【例】⇒附属小学校・附属高校・大学の附属病院。

ただし、国以外が管轄している私立の高校や大学などでは、「付属」の方を用いている場合もあります。

【例】⇒私立〇〇付属中学校。私立〇〇付属高校。

私立の学校に関しては、昔からある学校の多くは「附属」が主ですが、最近作られた学校は「付属」のものも多いです。

私立の学校名は、厳密に言うと固有名詞です。したがって、過去の歴史や経緯などはそこまで考えず、学校側が自由に付けているというのが実情のようです。

新聞などの報道機関

新聞などの報道機関では、一般に「付属」を使うことが推奨されています。

これはすでに紹介した「当用漢字補正資料」により、「附」を削除することとしているためです。

【例】⇒iPhoneの付属品。ひじ掛けが付属する席。付属語。

「報道機関」というのは、漢字の混同を避ける傾向にあります。そして、難しい漢字よりも簡易的で分かりやすい漢字を好みます。

そのため、新聞などのメディアでは原則として「付属」を使っているのです。

ただし、固有名詞の場合は話は別です。例えば、「〇〇附属中学校」などの名称はメディアでも「附属」を使っています。

これは、学校名を固有名詞と認識し、人や物の名前と同じ扱いをしているためです。

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不動産・建築業界

不動産や建築の業界では、一般に「附属」の方を用いるのが原則となります。

【例】⇒「附属建物の表記。建物に附属した小屋。」

不動産の取引というのは、『民法』や『宅建業法』などの法律によって成り立つ世界です。また、建物やビルなどを建てる建築業界も『建築基準法』という法律によって成り立っています。

すでに説明したように法令や公用文などでは、例外的に「附属」を使うというルールがありました。よって、この場合は「付属」の方ではなく「附属」を使うということです。

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本記事のまとめ

 

以上、本記事のまとめとなります。

「附属/付属」=主になる物に付き従うこと・付き従うもの。

「違い」=現在では意味自体に違いはない。(本来は「附」=「わたす・あたえる・さずける」。「付」=「つく・つける」)

「使い分け」=法令・公用文などでは「附属」を用い、それ以外は「付属」を用いる。

基本的には、どちらも使うことができます。ただ、「附属」は法令・公用文、「付属」は報道機関を中心に一般に使われています。その他、「〇〇小学校」「〇〇中学校」のような固有名詞の場合はその名前のまま使うようにしてください。

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