有期雇用契約とは、期間の定めのある労働契約のことをいいます。
目次
有期雇用契約の期間有期雇用契約の終了雇止めについてまとめ1. 有期雇用契約の期間1-1. 上限有期雇用契約は、原則として「3年」を超える期間について締結してはならないとされています(労働基準法14条第1項)。ただし、例外として次の通りです。
①「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」この場合、「必要な期間」が契約期間の上限となります。
②「高度の専門的知識、技術、経験を有する労働者との間に締結される雇用契約」高度の専門的知識、技術、又は経験(以下「専門的知識等」といいます。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する労働者との雇用契約の上限は5年です。
③「満60歳以上の労働者との間に締結される雇用契約」この場合、「5年」が上限となります。
上記の期間を超える期間を定めた雇用契約を締結した場合には、当該期間を超える部分は無効となります。なお、「当該期間満了後も労働者が労務に従事し、使用者がこれを知りながら異議を述べない時は、民法629条1項により黙示の更新がなされたものとみなされ、以後期間の定めのない契約として継続する」とした裁判例もありますので(札幌高判昭和56年7月16日)、期間の定め方や締結後の管理・対応には注意が必要です。
2. 有期雇用契約の終了(1)期間途中の使用者側からの解雇使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間、労働者を解雇することができません(労働契約法17条1項)。有期労働契約は、契約期間を維持することが前提のため、「やむを得ない事由」は、期間の定めのない労働契約の解雇の有効要件である「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」よりも厳格なものである(宇都宮地栃木支決平成21年4月28日)と考えられています。
(2)期間途中の労働者側からの解除一方労働者は、有期労働契約を期間途中で解除する際には、やむを得ない事由があるときは、直ちに解除することができますが、「やむを得ない事由」が労働者の過失によって生じ、かつ使用者に損害が生じた場合には、労働者は使用者に対し、損害賠償の責任を負います(民法628条)。
ただし、労働契約の期間が1年を超える労働者は、労働基準法の一部を改正する法律附則3条に規定する措置が講じられるまでの間は、1年を経過した日以降いつでも退職することができます(労働基準法附則137条)。
(3)期間満了の終了有期雇用契約の場合、期間が満了した場合、原則として終了します。
3. 雇止めについて①「有期労働契約が契約期間満了前又は期間満了後遅滞なく更新や契約締結申込みをした場合」であって、②「使用者が当該申込みを拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」には、使用者は従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法19条)。この労働者側からの「申込み」とは、黙示の意思表示で足りると解されています。
4. まとめまずは有期労働契約の期間についてご説明しましたが、有期労働契約におけるルールは数多く存在します。また、どの会社でも事業活動を行うなかで、従業員とのトラブルは起こりうる可能性があるものです。その際会社を守るためには、法律上問題がない雇用契約を締結し、適切な手続きをとっていることが非常に重要です。トラブルが発生する前に、是非一度弁護士にご相談ください。