小口現金とは、細かい支払いを行うために、手元に置いておく少額の現金です。会社の経理が管理していることが多いでしょう。この章では、小口現金のメリットやデメリット、現金との違いを解説します。
小口現金=経費精算用に手元に置いておく少額の現金小口現金とは、細かい経費の支払いのために手元に置いておく現金のことです。経理担当者が管理する場合が多く、すぐ支払いができるように金庫に保管する会社もあります。
使い方の具体例を紹介します。
書類の郵送に使う切手の購入費用を小口現金から支払う事務所の水道光熱費を小口現金から支払う社用車のガソリンを入れるための費用を従業員が立て替え、小口現金から経費精算小口現金で支払われるのは少額がほとんどですが、使用頻度が高いため、帳簿で正しく管理することが大切です。使用頻度が増えるほど、小口現金の残高が合わなくなることがあります。
管理方法は、一日ごとに行ったり週末にまとめて行ったりと、会社によってさまざまです。
小口現金のメリット・デメリットつぎに小口現金のメリット・デメリットを解説します。
小口現金のメリットは以下の2つです。
交通費やガソリン代の立て替えが多い営業職など、出費が多い従業員の負担を軽減できる急な支払いに対応できるデメリットは以下の4つです。
経費精算作業による負担が増える帳簿記帳や残高確認の手間が増える帳簿記載のミスにより残高が合わないなどのケースが発生する盗難防止の措置が必要になる従業員にとっては立て替えをする際、現金でのやり取りの方が手軽で、急な支払いに対応できるメリットがあります。一方、経理担当者からすれば、経費計算の業務や残高が合わないなど、手間がかかるのがデメリットです。
小口現金と現金の違い小口現金と現金は日々の仕訳の段階で区別して考える必要があります。
小口現金は、手元に置いておく小額の現金で、現金とは金融機関や金庫に預けられているお金です。法人の場合、経理項目が小口現金と現金の2つに分かれています。
現金は銀行に預けていてすぐには使えないお金、小口現金はすぐに使うために手元に用意しているお金と認識しておきましょう。
小口現金は部署ごとに「小口現金出納帳」で記帳・管理しますが、現金は経理部門が「現金出納帳」で記帳・管理する違いがあります。
小口現金に関する2つの制度小口現金の管理方法について、定額資金前渡制度(インプレスト・システム)と随時補給制度の2つを紹介します。
どの管理方法が会社に合うのか、担当者が管理がしやすいのはどちらか、検討してみてください。
定額資金前渡制度(インプレスト・システム)定額資金前渡制度(インプレスト・システム)とは、1カ月や2カ月など、一定期間分の金額を各部署の小口現金係に前渡しして、日々の支払いをその現金から支払う制度です。
小口現金係は出金した際、小口現金出納帳へ勘定科目ごとに集計します。経理担当者は一定期間の終了後に集計確認を行い、使用分を小口現金に補給するやり方です。
出金するたびに補給する必要がないため、小口現金の管理負担が軽減するのがメリットです。
随時補給制度随時補給制度とは前渡し金額を一定に決めず、必要に応じて随時小口現金を補給するやり方です。
何度も小口現金係と経理担当がやり取りする必要があり、補給と管理の手間が増えるため一般的ではありません。
随時補給制度よりも、定額資金前渡制度の方がお互いの業務を減らせるでしょう。
小口現金を管理するときのルール小口現金を管理するときのルールは2つあります。
小口現金出納帳を使って管理する小口現金出納帳は10年間保管する小口現金出納帳を使っていないと、支払った日や内訳がわからず、管理できません。小口現金係は出納帳を使って管理しましょう。
小口現金出納帳を使って管理する小口現金出納帳とは小口現金から支出した金額や内容、補給金額を記録するための帳簿で小口現金係が記録します。
小口現金出納帳には以下の情報を書き込む必要があります。
受入金額日付摘要支払った金額支払いの内訳・残高出納帳を見れば、いつ、どれだけ何に使ったのかなど、一目見てわかるため、きちんと記録して管理しましょう。
1カ月または2カ月など、決められた期間ごとの支払総額と内訳の総額を集計し、経理担当者に報告します。
小口現金出納帳は10年間保管する小口現金出納帳は会計帳簿の中の「補助簿」に分類されます。補助簿(小口現金出納帳)の保管期間は、税法で7年、会社法で10年と定められています。
保存期間が定められている理由は、確定申告のときに小口現金出納帳を利用することがあるためです。
小口現金係が経理担当者に小口現金出納帳を渡し、仕訳入力が完了してからも出納帳を捨ててはいけません。保存期間の10年が経過すれば、処分しても問題ないでしょう。
小口現金の仕訳小口現金の仕訳方法や、よく使用される勘定科目を紹介します。頻繁に使う物であれば、覚えると仕訳しやすくなるでしょう。
勘定科目は会社によって異なる場合もあるため、あくまでも一例としてご参考ください。
以下に解説します。
使用する勘定科目小口現金で支払った際によく使われる代表的な勘定科目について説明します。
勘定科目
内容
交通費
仕事のために使ったタクシー代や電車代、宿泊代金
事務消耗品費
文房具やコピー用紙、ファイルなど
消耗品費
トイレットペーパーや掃除用具、電池など
通信費
はがき代や切手、携帯電話料金など
福利厚生費
従業員のための茶菓子代など
新聞図書費
新聞購読料や業務必要な書籍など
諸会費
商工会の会費や取引先との忘年会の会費など
租税公課
収入印紙の購入など
会社によっては、勘定科目が異なる場合もあるため、会社ごとの勘定科目にしたがって仕訳を行いましょう。
仕訳方法小口現金の仕訳方法を解説します。小口現金は資産の勘定科目である「小口現金」で処理し、貸借対照表の借方に分類されます。補給されれば借方、支出されれば貸方に記載します。
具体的な仕訳方法を見ていきましょう。
■小口現金の引き出し
小口現金5万円を銀行口座から引き出し、小口現金係に渡したときの仕訳
借方
貸方
小口現金/50,000円
預金/50,000円
■小口現金からの払い出し
小口現金から、交通費6,000円、通信費3,000円、福利厚生費10,000円、事務消耗品費5,000円を支払った場合の仕訳
借方
貸方
交通費/6,000円
小口現金/24,000円
通信費/3,000円
福利厚生費/10,000円
事務消耗品費/5,000円
■小口現金の補給
5万円の小口現金から24,000円使用し、銀行口座から24,000円を補給するときの仕訳
借方
貸方
小口現金/24,000円
預金/24,000円
小口現金を管理するときのポイント小口現金を管理するときのポイントは以下の3つです。
小口現金の残高を毎日一致させるセキュリティー対策を講じる小口現金出納帳を会計ソフトやシステムで作成する小口現金は頻繫に出し入れするため、金額が合わなくなることがあります。帳簿を使い、残高確認をしましょう。
小口現金の残高を毎日一致させる小口現金の管理に当たっては、毎日残高を確認し帳簿と一致させるチェックルールを設けましょう。毎日確認すれば、使用された現金の管理や未払いの存在を把握でき、小口現金の不正使用の可能性などもすぐ発見できます。
もし、月末にすべて確認するとなれば、手間がかかるうえに残高がいつから合っていないのかなど探すのに時間がかかります。毎日こまめに確認すれば、月末にまとめてチェックする負担を減らせるでしょう。
万が一、金額の差異が生じた場合は、原因を見つけなければなりません。差異の原因がわからない場合は、「雑損失」か「雑収入」として処理します。
セキュリティー対策を講じる紛失や盗難、横領などが発生しないようにセキュリティー対策が必要です。誰でも触れる場所に置いておくと、紛失しても原因を突き止めにくくなるため、必ず金庫などで管理しましょう。小口現金の担当以外は金庫を触らないと決めておくのも対策の1つです。
また、使う予定のない多額の現金を保管することは、企業運営上のリスクとなります。小口現金は上限金額を決めておき、上限を超える出費が発生する場合のルールもあらかじめ定めておくと良いでしょう。
小口現金出納帳を会計ソフトやシステムで作成する小口現金出納帳を会計ソフトやシステムで作成すると管理しやすくなります。出納帳は、帳簿をつけるフォーマットに決まりはありません。ノートへの手書き、Excel、会計ソフトなど管理方法はさまざまあるため、使いやすい方法で記帳しましょう。
ただし、データ管理なら勘定科目ごとの合計や、差引残高を自動で計算できるメリットがあります。会計ソフトやクラウド型経費精算システムなら、仕訳や経理処理も自動で行えるため、管理がしやすいうえに業務も効率化します。
まとめ小口現金は日々の細かな支出に備え、手元に用意しておく現金です。帳簿にずれがないか都度確認が必要であったり、盗難防止のためにセキュリティーを強化したりする必要があります。そのため、小口現金管理には十分注意を払わなければなりません。
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