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経営計画とは?3つの種類・策定のテンプレも紹介

更新日 : 2024年5月23日経営計画とは?3つの種類・策定のテンプレも紹介

企業が持続的な成長を実現するためには、自社のビジョン・目標を明確化し、具体的な取り組みをまとめた経営計画が欠かせません。経営計画は、長期・中期・短期という期間ごとに種類が分かれます。いずれの経営計画も、経営理念を明確化した上で、内部・外部の環境を分析し、目標を設定することが必要です。

この記事では、経営計画の概要や策定の流れを詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。

目次

経営計画とは?3つの種類長期経営計画中期経営計画短期経営計画経営計画のメリット・必要な理由現在の課題を整理できる進むべき方向性を明確にできる信用力が上がる目標・目的を共有できる経営計画の策定に必要な項目経営理念経営戦略事業戦略数値計画経営計画の策定の流れ経営理念の明確化内部環境分析外部環境分析目標設定経営計画書のひな形・テンプレート-無料ダウンロード経営計画の策定には経営計画書を活用しよう経営計画とは?3つの種類

経営計画とは、自社のビジョンや目標を明確化した上で、達成するための具体的な取り組みを示した計画のことです。企業が安定的な利益を上げるには、経営の方針・目標を定めた経営計画が必要となります。

経営計画は「長期経営計画」「中期経営計画」「短期経営計画」の3種類があります。直近から将来までの経営を円滑化するために、可能であれば3種類すべての経営計画を策定しましょう。

以下では、3種類の経営計画について主な内容や特徴を解説します。

長期経営計画

長期経営計画は、一般的に5~10年後のビジョン・目標達成に向けて策定する経営計画です。企業の経営を長期にわたり安定させ、かつ成長させるために、自社はどのような取り組みを行うべきかを長期経営計画では策定します。

5~10年は、企業を取り巻く業界や消費者ニーズなどの状況に大きな変化が起こり得る年数です。長期経営計画は、企業を取り巻く状況がどのように変化しても、設定したビジョン・目標を実現できる取り組みを具体的に示します。

長期経営計画で策定する内容には、将来の景気・顧客状況にもとづく業績の見通しや、既存事業の強化・新規事業の展開、投資戦略などが挙げられます。

中期経営計画

中期経営計画は、一般的に3~5年後における企業のあるべき姿を決める経営計画です。長期経営計画の実現を前提として、3~5年で成し遂げるべき内容を中期経営計画で策定します。

ただし、5~10年後の見通しを立てることは難しく、中小企業の中には長期経営計画を策定しないケースもあります。長期経営計画を策定しない場合は、中期経営計画で将来のビジョン・目標を明確化し、3~5年の期間内で実現するべき内容を策定しましょう。

中期経営計画を策定する際は、3~5年後の売上・経常利益・株主資本利益率(ROE)などで具体的な数値目標を掲げて、どのように目標達成するかを示します。企業が抱えている経営課題を明確化し、解決方法を提示することも大切です。

短期経営計画

短期経営計画は、中期経営計画で掲げた数値目標を達成するために、1年ごとの行動方針を策定する経営計画です。短期経営計画の数値目標は中期経営計画よりも詳細であり、日常業務レベルでの行動計画も設定する必要があります。

短期経営計画で策定する内容は、1年間の販売計画や仕入れ・人件費などの経費、部門・部署ごとの数値目標・行動計画などです。計画の進捗は定期的に評価し、問題がある場合は速やかに修正する柔軟さも求められます。

経営計画のメリット・必要な理由

経営計画を策定した経験がなく、経営計画がなぜ必要か、策定することでどのようなメリットがあるか分からない方は多いでしょう。以下では経営計画を策定するメリットや、経営計画の策定が必要な理由を4つ解説します。

現在の課題を整理できる

経営計画を策定する際は、自社の現状を把握する必要があります。「自社の従業員は何人か」「事業でどの程度の利益があるか」「取引先・顧客層との関係はどうか」といった現状把握を通して、現在の課題を整理できる点がメリットです。

現在の課題を整理することで、各課題の詳しい状況が分かり、優先順位も付けられます。1年以内に解決できる課題か、解決に5~10年の年数が必要な課題かを考えるだけでも、3種類ある経営計画のどの部分で課題解決を示せばよいかが分かるでしょう。

また、現在の課題をリスク要因として認識することで、中期経営計画や長期経営計画をより現実的な内容で策定できます。

進むべき方向性を明確にできる

企業経営では事業展開や人材獲得、資金調達などの諸問題について、経営者自身がビジョン・目標にもとづく判断をしなければなりません。経営者の判断に定まった指針がないと、間違った判断を下す可能性があります。

経営計画を策定していれば進むべき方向性を明確にできるため、掲げたビジョン・目標へと企業全体を導けるでしょう。

また、近年は大企業を中心に多角的な事業展開を行う企業が増えており、市場シェアの奪い合いが激しくなっています。情報インフラの発達によって消費者ニーズの変化も高速化しており、判断の遅れは機会損失を生む原因です。

スピード感のある経営判断を行うには、経営計画の策定が欠かせません。

信用力が上がる

経営計画の策定は、企業の信用力が上がるメリットもあります。

企業の信用力とは、取引先や金融機関の立場から企業を見たときの評価です。信用力が高いと取引先との契約継続や金融機関からの資金調達がしやすくなり、反対に信用力が低いと良好な関係は結べません。

企業の信用力を上げるには、「経営者がどのような考え方で経営を行うか」を取引先や金融機関に理解してもらう必要があります。経営方針を広く知らせる方法として役立つものが「経営計画」です。

短期経営計画から中期経営計画、長期経営計画までを綿密に策定している企業は、取引先や金融機関に「計画的な経営をする企業」と見なされ、信用力を上げられるでしょう。

目標・目的を共有できる

企業の経営方針は、社内で働く従業員にも理解してもらうことが必要です。経営計画を策定すると、経営者と従業員が目標・目的を共有できます。

従業員が企業の経営方針を理解していない場合、自分がやっている業務が何に貢献しているかが分からず、不安な感情を持つようになります。チームで作業をするときも、チーム内の動きにまとまりがなくなり、業務の質やスピードが低下する原因となるでしょう。

従業員と目標・目的の共有ができれば、従業員は業務の流れや目的を理解しながら働くことが可能です。従業員自らが経営目標を意識して働くモチベーションを生み出せるようになり、生産性向上や業務効率化にもつながります。

経営計画の策定に必要な項目

経営計画を策定する際は、経営計画書の作成が必要です。経営計画書には、企業の方針をいくつかの項目に分けて具体的に記載します。以下では、経営計画の策定に必要な4つの項目を挙げて、各項目をどのように記載するとよいかを解説します。

経営理念

経営理念は、企業が目指すビジョンや達成すべきミッション、重視する価値観を表す項目です。企業活動は経営理念の実現を目的としていて、経営計画の全体的な方向性は経営理念をもとに決定します。

経営理念を作成する際は、企業がどのような目標を達成したいかを明確にして、将来のビジョンを読み手に伝えましょう。自社の個性を前面に押し出し、読み手が企業の未来像をイメージできる内容にすることがポイントです。

また、経営理念は多くの人に見られるため、簡潔な言葉で分かりやすく書く必要があります。経営理念の草案をいくつか作成し、読みやすいかどうかを他人に尋ねて推敲しながら完成させましょう。

経営戦略

経営戦略は、経営理念で掲げたビジョンや目標を達成するための具体的な方針を定める項目です。

企業が事業活動を通して大きな目標を達成するには、社会において自社に求められる役割や課題を分析し、優先順位を付けて取り組む必要があります。「自社は何をやるべきか」「優先順位をどのように付けるか」を具体的に決めることが、経営戦略の要点です。

経営戦略を立てる際は、外部環境分析と内部環境分析を行います。

外部環境分析とは、業界や競合他社の動向などについての分析です。一方で内部環境分析では、自社の経営資源などについて強み・弱みを分析します。

経営戦略を立てることで自社の外部環境・内部環境を詳細に把握でき、現実的な視点で目標達成に向けた方針を示せます。

事業戦略

事業戦略は、経営戦略で定めた方針にもとづき、企業の事業別に達成すべき目標と具体的な活動内容を定める項目です。

経営戦略は企業全体における中長期的な方針を定めたものであり、そのままの内容では企業が行う事業活動の方針を決められません。経営戦略をより細分化し、事業レベルでの活動と意思決定で役立つようにしたものが事業戦略です。

事業戦略を立てる際は、各事業にどのような特徴があるか、強み・弱みは何かをフレームワークを用いて分析します。事業戦略の策定で用いられるフレームワークとしては、3C分析やSWOT分析などが挙げられます。

企業の各事業で高い成果を出し、競合他社に勝つには、綿密な分析による事業戦略の策定が欠かせません。

数値計画

数値計画は、事業によってどのように利益を出すかを具体的に定める項目です。売上計画・予算計画・販売計画・資金計画などの詳細な計画を策定して、いつまでにどの程度の売上高・経費があり、利益をいくら出せるかを明確化します。

数値計画を立てる際は、一般的に来期の利益目標を定めた上で、目標達成にはどのように利益を上げる必要があるかを考えます。起業する場合は、類似する企業を参考に数値計画を立てましょう。

数値計画は、主に中期経営計画や短期経営計画で作成します。特に短期経営計画では1年間の計画を定めるため、数値計画は具体的に、かつ根拠のある数値を提示することが重要です。

経営計画の策定の流れ

経営計画は具体性のある内容が重要で、策定する過程では目標の明確化が求められます。基本的な流れを押さえると、経営計画をスムーズに策定できるでしょう。最後に、経営計画を策定する流れを4つのステップに分けて解説します。

経営理念の明確化

経営計画の大まかな方向性を決めるために、まずは経営理念を明確化しましょう。

経営理念の内容は、下記の3要素に分けられます。

ミッション企業の存在意義や社会に対して果たす使命です。「サービスの提供を通して社会の課題を解決する」など、企業と社会のつながりを示します。ビジョン企業が中長期的に目指す目標です。「国内での売上高10億円を達成する」のように、明確な数値目標も設定します。バリュー企業が重視する価値観や行動規範です。「常に高いパフォーマンスで業務に臨みます」など、目標達成に必要な行動の手本を示します。

ミッション・ビジョン・バリューの3要素を明確にすることで、企業がどのような経営を目指すべきかが分かり、経営理念に沿った経営計画を策定できます。

内部環境分析

経営理念の明確化をした後は、内部環境分析を行います。

内部環境分析では、自社を構成する経営基盤やリソースをすべて分析する必要があります。ヒト・モノ・カネ・情報などのリソースを漏れなく把握し、リソースごとの強み・弱みなどを分析しましょう。

内部環境分析で把握するリソースとしては、下記の例が挙げられます。

人材の数や能力顧客の数や属性拠点数オフィスや設備の状況社内インフラ社風や企業カルチャー顧客満足度マネジメント体制

など

社風や顧客満足度などの有形ではないリソースも、把握・分析することが必要です。企業内部のリソースをすべて分析することで、自社の強みや課題が分かります。

外部環境分析

内部環境分析に続き、外部環境分析も行いましょう。

外部環境分析では自社を取り巻く市場や競合他社、法制度といった外部環境をそれぞれ挙げて分析します。外部環境は時代の流れに合わせて、変化していくものであるため、常に新しい情報を収集しましょう。

外部環境分析で取り上げる外部環境とは、主に下記の例が挙げられます。

市場の動き競合他社の動き取引先の変化顧客の変化技術革新法令や制度の改正経済の動き営業圏での人口推移

など

外部環境は自社が期待する通りにはコントロールできず、情勢次第で自社の脅威にも機会にもなり得ます。適切な経営計画を策定するには、外部環境の詳細な分析が必要です。

目標設定

内部環境分析・外部環境分析によって分析結果を得た後は、経営戦略・事業戦略を立てて、目標設定を行います。

目標設定を進める際は、数値計画の作成を意識することが大切です。例を挙げると、「1年後に売上1億円を達成する」という目標だけではなく、目標達成に必要な人材・設備・経費などのリソースも数値化して計算します。

また、目標達成のために解決しなければならない課題や、具体的な業務・行動も列挙しましょう。

具体性のある数値や内容を挙げて目標設定を行うことで、実現性の高い経営計画を策定できます。

経営計画書のひな形・テンプレート-無料ダウンロード

経営計画書はテンプレートを使うことで、簡単に完成度の高いものを作成できます。下記のページでは、経営計画書のテンプレートを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

▶経営計画書(PPTX)のテンプレート – マネーフォワード クラウド会社設立⇒会社設立の基礎知識経営計画書の作り方を解説!テンプレートやサンプルで簡単作成

また、中期経営計画表については、以下よりテンプレートを無料でダウンロードいただけます。

▶中期経営計画表のテンプレートを無料でダウンロードする経営計画の策定には経営計画書を活用しよう

経営理念を明確化した上で、内部・外部の環境を分析し、具体的な目標を設定することで、経営計画を策定できます。さらに、策定した経営計画を日々の業務で参考にしたり、取引先・銀行との関係を良好に保ったりするためには、経営計画を書類の形にした経営計画書の作成が必要です。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

校閲:三田村浩太(筆名)

プロライター。法律や税金関係の制度に詳しく、さまざまなWebメディアで初心者向けの解説記事を執筆している。企業経営に関する最新の法改正にも対応できる記事となるように努めている。また、地域の中小・零細企業経営者に向けて、経営効率や労働環境の改善を目的としたDX促進への提言を社会活動として積極的に行っている。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

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