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「本末転倒」とは? 意味をわかりやすく解説! 例文や間違った使い方も

今回は、「本末転倒」の意味をわかりやすく解説します。日常会話やビジネスシーンでもよく見聞きする「本末転倒」という言葉ですが、多くの人が間違った使い方をしてしまうようです。

使い方や例文も紹介しているので、「本末転倒」を正しく使えている自信がない方は要チェックです。

本末転倒という四字熟語をわかりやすく解説します

「本末転倒」とは? 意味と語源

ここでは、「本末転倒」の意味と語源を解説します。

「本末転倒」の意味

「本末転倒(ほんまつてんとう)」とは、物事の中心部分と些細なことを取り違えてしまうことを意味する四字熟語です。

本来の目的である大切なものをおろそかにし、どうでもよい部分に力を入れて時間を掛けてしまっている、あるいは当初の目的と手段などがいつの間にか入れ替わってしまっている様子を表します。

以下、『広辞苑 第七版』掲載の本末転倒の意味です。

ほんまつ‐てんとう 【本末転倒】 ‥タウ

根本的な事柄とささいな事柄とを取り違えること。「公務を休んでゴルフに行くなんて―だ」

[広辞苑 第七版]

元々は「本末顚倒」と表記されていましたが、現在では「本末転倒」と書かれることが一般的です。

「本末」は「もととすえ」、つまり物事の根本と末節部分、「転倒」は逆さになってしまうことを意味します。

「本末転倒」の語源

「本末転倒」の由来は、鎌倉時代の仏教にあります。それまで各仏教の宗派の中心として本山(本寺)が力を持っていましたが、鎌倉時代に末山(末寺)が檀家を増やしたことにより、本山と末山の力関係が逆転してしまいました。

このことを指して「本末転倒」と使われたのが始まりとされています。

「本末転倒」のわかりやすい使い方・例文

ここでは、「本末転倒」の使い方や例文を解説します。

「本末転倒」には間違った使い方がある?

「本末転倒」と混合されやすい言葉が、「元も子もない」です。

「本末転倒」は「重要な根本部分と些細な部分を取り違えること」という意味に対し、「元も子もない」は「失敗して全てを失うこと」ということを意味します。「元も子もない」という意味で「本末転倒」を使うのは間違っているので要注意です。

以下、『広辞苑 第七版』掲載の「元も子もない」の意味です。

○元も子もない もともこもない

(元金も利息もない意から)失敗してすべてを失う。何もかもすっかり失う。元も子も失う。

[広辞苑 第七版]

【よくある間違った使い方】

お金を稼ぐためにと限界まで仕事をしているけど、体を壊して働けなくなったらお金も健康も失って本末転倒だよ✕→お金を稼ぐためにと限界まで仕事をしているけど、体を壊して働けなくなったらお金も健康も失って元も子もないよ〇「本末転倒」の例文

「本末転倒」の使い方を、例文でみてみましょう。

・安らぎを求めて購入した観葉植物だが、手入れの手間にストレスを感じるようになってしまっては本末転倒である。

・誤解を招かないような表現で報告書を書くことは大切だが、そのせいで長く読みづらい文章になってしまっては本末転倒だ。

・売り上げを上げたいからといって、値下げやセールばかりしていては利益が出ないため本末転倒である。

本末転倒とは、物事の優先順位を間違え本来の目的をおろそかにしてしまう様子を表す四字熟語です

「本末転倒」の類語

大事なことと些細なことを取り違えることを意味する「本末転倒」ですが、他にも似た意味の言葉が多くあります。それぞれ少しずつニュアンスや意味が違うため、正しく意味を理解して使い分けられると、相手に状況をより伝えやすくなります。

主客転倒(しゅかくてんとう)

「主客転倒(しゅかくてんとう)」とは、物事や人の大切にすべきものとそうでないものを取り違えることを意味します。主人と客の立場や力関係が逆転することを表し、本来いちばん大切にすべきものの代わりに、些細なものを大事にする様子を示す言葉です。

また、単に人の立場や物事の軽重を逆にすることにも使えます。

冠履転倒(かんりてんとう)

「冠履転倒(かんりてんとう)」とは、地位や価値など上下の立場が逆になってしまうことの例えを表す言葉です。「冠」はかんむり、「履」とは靴のことを示し、上にあるものが下に、下にあるものが上に行ってしまうような上下の秩序が乱れてしまうことを指します。

冠履転倒は、元々の力関係や立場で明らかに上下があるものに使用することを覚えておきましょう。

元も子もない

「元も子もない」とは、元々の目的であったことが達成できないだけでなく、それ以上のものを損してしまうことを表す言葉です。「元」は元手、「子」は利子を表し、欲をかいた結果、元金も利子もすべて失ってしまって何も手元に残らない様子からきています。

「本末転倒」では、単に本来の目的などを取り違えてしまい、それらを達成できないことだけを示しますが、「元も子もない」の場合では、さらにマイナスが発生している点に違いがあります。

例えば、「家で課題を完成させようとスケッチブックを持ち帰っても、紛失してしまっては元も子もない」というように、本来の目的である「課題の完成」ができないだけでなく、それ以上の「スケッチブックの損失」という損があるときに使える表現が「元も子もない」です。

そのため、「元も子もない」は「本末転倒」の類語ではありますが、書き換え表現としては適切ではありません。似たニュアンスを持つ言葉ですので、誤用に注意しましょう。

木を見て森を見ず

「木を見て森を見ず」とは、目の前の些細なことにばかり気を取られてしまい、全体を見通せていないことのたとえです。

例えば、書類を作るときに誤字脱字をなくしたり読みやすいフォントにしたりすることは大切ですが、それにばかり気を取られてしまって書類全体の内容がおろそかになってしまっている様子を表現しています。

角を矯(た)めて牛を殺す

「角を矯めて牛を殺す」とは、小さな欠点を直そうとするあまり、すべてを台無しにしてしまうことを例えた表現です。「矯める」とは矯正することを意味します。牛の角が曲がっている様子が気になるからといって、無理に真っ直ぐに直そうとすると肝心の牛を殺してしまうという意味があります。

この比喩表現を実際の状況に当てはめてみると、部下や後輩の小さな欠点を直そうと熱心に指導するあまり、本人のやる気や自発性を削いでしまったりする様子などが該当するでしょう。

本末転倒の類語を覚えましょう

「本末転倒」の対義語

「大切なものなどを途中で取り違えてしまう」といった意味を持つ「本末転倒」。その対義語には「一貫した態度を取り続ける」を意味する、以下のような四字熟語が挙げられます。

首尾一貫(しゅびいっかん)

首尾一貫(しゅびいっかん)は、方針や態度などが最初から最後まで変化しないことを意味する四字熟語です。矛盾なく一貫した主張などをすることにも使用できます。

徹頭徹尾(てっとうてつび)

徹頭徹尾(てっとうてつび)も首尾一貫とほぼ同じ意味を持つ四字熟語で、最初から最後まで一貫して、ぶれることのない態度を意味します。

ただし、徹頭徹尾は副詞として使用されるため、「徹頭徹尾〇〇する」と他の言葉が続く点に注意しましょう。

初志貫徹(しょしかんてつ)

初志貫徹(しょしかんてつ)とは、最初の思いを最後まで貫き通すことを表します。最初に決めたことを変えない意志の強さを示す表現として、自己アピールや人を褒める際に用いられやすい四字熟語です。

本末転倒の対義語を紹介しました

「本末転倒」の意味を理解しましょう

「本末転倒」は、「いらない本を捨てるために内容を確認していたのに、読書に夢中になってしまった」「お金をかけない暮らしをするために断捨離を始めたのに、いつの間にか捨てることそのものが目的になってしまった」など、本来の目的を見失って些細なことに力を入れてしまうことを意味する四字熟語です。

「本末転倒」を表現するシーンは仕事に限らず、日常でよくあるシチュエーションにも使用できます。この記事を参考にして、「本末転倒」を正しく理解して活用できるようにしましょう。

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